「ハウステンボスへの訪問インタビュー」
“ハウステンボスは観光ビジネス都市だった!”

ハウステンボス社長(HIS会長)
澤田秀雄さん(機械科25期・S44年卒)

報 告:鈴木 裕 同窓会理事長(機械科24期・S43年卒)
場 所:長崎県佐世保市・ハウステンボス本社
日 程:平成26年10月5日(日)〜 6日(月)
鈴木祥子(H4)HP運営委員会委員長(ビデオ・写真撮影担当)
内山ふみよ(H12)HP運営委員(記録担当)

今夏、在阪テレビ局のニュース番組に、現在はハウステンボス社長の澤田秀雄さんが登場して、今年も大阪城で昨年よりも進化させた「3Dマッピング・イルミネーションを上演する」と力強く宣言されている姿を見かけました。長崎のハウステンボスで活躍されている澤田秀雄さんが地元大阪でイベントをプロデュースされているのが分かったので、生野工業高校同窓会員として「歓迎の思い」を伝えたいと思いました。書面で「面談」の申し入れをしましたところ早速承諾の返事をいただき、長崎県のハウステンボス本社でお会いすることになりました。「面談」の打ち合わせで、私たち工業技術関係の立場からハウステンボスで行われている省エネ技術の実証実験をしている「スマートハウス」の取材を希望していることを伝えました。一方、経営企画室の担当者の方からは “日本一の認定”を受けた「イルミネーション」の鑑賞などを勧めていただきました。またご厚意でハウステンボスのオフィシャルホテル「ホテルヨーロッパ」の手配をしていただくことになり、10月5日から1泊二日の日程でハウステンボスに向かうことになりました。
次に当日の「面談」の様子などをまとめましたのでご覧ください。

〔1日目‐10月5日(日)〕
折しも数日前から台風18号が鹿児島に上陸するコースを進んでいましたので面談が中止になるのを心配しました。運よく台風の進路が外れ関西空港⇒長崎空港便だけが運行されました。しかし長崎空港では強風のために着陸ができず、大村湾上空を3度転回して、やっと着陸することができました。自宅を朝の9時に出てハウステンボスに着いたのは夕方の5時過ぎでした。
午後6時30分。黄昏にイルミネーションがチラチラと輝きはじめたので、「光の王国」に行くためにホテルを出ましたが、外は未だ台風18号からの強風と霧雨が舞っていました。
ガイドマップを見ながら、ハーバーゲートを通り抜け「アムステルダムシティ」に入りました。目の前には運河とその岸辺には明るくライトアップされた洋風の建物が立ち並び、一瞬にして昔に旅したオランダに来たような錯覚を覚えました。白い光でトリミングされた街路樹や、赤・青・緑、色とりどりのイルミネーションで美しく飾られたアムステルダムシティのギフトショップやレストランを覘きながら、バラの庭園「アートガーデン」に進みました。小さなイルミネーの光の花が咲いている小径を進むと、見上げるほどに高い105mのシンボルタワー「ドムトールン」に辿り着きました。エレベータで地上80mの展望台に昇り窓の外を見たとき、眼下に1,000万球を超す光の球で織られた日本一の夜景「光の王国」が暗闇の中に浮かび上がっていました。思わず「わっ、綺麗!」と感動の声が出てしまいました。気が付くとタワーが強風で揺れていたので急いで降りました。
最終の取材として大阪城で上演される最新の映像システム「3Dプロジェクションマッピンッグ」が映し出す大迫力の「映像」を見て夜も遅くなり吹く風が冷たくなったので、1日目を終了しました。

〔2日目‐10月6日(月)〕
「ホテルヨーロッパ」の部屋は落ち着いた洋風調度品で設えられていました。目が覚めてカーテンを開けると台風一過、まぶしい朝日が差し込んできました。朝食はビュッフェコースで豪華な料理をゆっくり味わいました。
「ホテルヨーロッパ」の前から園内循環バスに乗り、ハウステンボス本社に向かいました。午前9時30分、ハウステンボス社長澤田秀雄さんとの面談が始まりました。

〔質問〕「澤田さんは生工では何クラブに入っていましたか。また印象に残っている先生はいますか?」
【澤田さん】「柔道部でした。部活が終わってからは友人と生野商店街の店に入っていろいろ食べたのをよく覚えています。3年生の時に生徒会長をしたので、体育科の大西実先生のことを覚えています。よく叱られました……。」
〔質問〕「留学先に米国や英国でなく、何故ドイツを選んだのですか?」
【澤田さん】「昭和48年当時、西側諸国の中でドイツは成長していたし、地理的にヨーロッパの中心にあって他の国へ行きやすかった。また昔から日本と友好的なところがあるので選びました。ドイツに4年半滞在し、その間、世界各地を旅行しました。」
〔質問〕「エンジニア・澤田さんとして、初めてハウステンボスを見たときの印象は?」
【澤田さん】 「暗く寂しい、面白くない感じが強くしました。ただ、ヨーロッパ調の美しい建物に心惹かれました。」
〔質問〕「新生ハウステンボスに対するコンセプトは?」
【澤田さん】「文化です!綺麗なものを見る。美しい音楽を聴く。そして人は感動します。 私は『感動』を届けたい!ハウステンボスには以前からチューリップやバラなどの美しい花はたくさんありました。
先ず初めに、私は『花の王国』と名前を付けて『100万本のバラ祭り』として見せ方を工夫しました。
2番目に、冬のハウステンボスの夜は暗くて寒かった。冬の夜を明るく楽しくしたいので、1,000万球を超えるルミネーション輝く『光の王国』を創りました。
3番目に、ハウステンボスに来たときは園内にBGMも流れていなかった。現在は『ショーと音楽の王国』に世界一流のクラシックの音楽家が来園し演奏しています。また昨年から歌劇団のショーも上演されています。一日中、本格的なエンターテインメントを見ることができます。
4番目に、今では子どもからお年寄まで一緒になって楽しめる『ゲームの王国』もできました。
5番目に、来年は東大・京大などの有名大学の医学部とコラボレーションで、遊びながら健康診断ができて元気になる『健康の王国』が生まれます。」
〔質問〕「今後のハウステンボスに対する見通しは?」
【澤田さん】「ハウステンボスは東京ドームの33倍を超え、モナコ公国とほぼ同じ広さがあります。ここは私有地だから免許証が無い私でも自動車を運転することができます。今、乗っているのは電気自動車ですが、全自動の自動車ができています。法律の規制を受けない範囲で他では不可能な技術開発が行えるので、いろいろな企業が事務所を構えてビジネスマンが常駐しています。
ハウステンボスは『観光ビジネス都市』なのです。その一つに東大生産技術研究所との協力実験住宅『スマートハウス』があります。来年には『スマートホテル』が建設される予定です。さらにハウステンボス全体を『スマートシティ』にする構想もあります。その他に、ロボットの『やすかわ君』がソフトクリームを販売するので大変人気がある店があります。今後は『うどん販売』のロボットも考えています。少子化・人材不足の解消になります。」
〔質問〕「最後に、同窓会員へのメッセージをお願いします。」
【澤田さん】「これから大変な時代だと思いますが、やり方次第でどんどん良くなると思います。皆で頑張って元気にやっていきましょう。」

澤田さんとの1時間の面談が終わりました。その後、経営企画室長・高田さんがクラシックカーを運転して面談に出てきた「スマートハウス」、「歌劇の公演」、ソフトクリーム販売ロボットの「やすかわ君」、「ガーデニング世界カップ会場」を案内してくださいました。

この度、澤田さんとお会いして「ハウステンボス歌劇学院の学長」、「東京交響楽団の理事長」であるとともに、モンゴルAG銀行の会長に就任されていることを知りました。日本を代表する企業の経営者としてますますのご活躍とご健勝をお祈りするとともに、是非とも母校へお呼びしたいと強く思いました。

以上

報告 : 鈴木 裕 同窓会理事長(機械科24期・S43年卒)